子ども自らが考える、非行防止環境づくりプログラム実施事業
この事業は、『NTTドコモ市民活動団体への助成事業』により実施したもので、平成18年3月〜4月に福岡市の西部地域の小学校区で「こども防犯ワークショップ」を行い、7月には、その内容を地域の大人向け報告集に落とし込み配布しました。また、参加していない子どもたちに対して、「自主防犯」意識を促進するために、子ども向けのワークショップ報告集を作成。実施小学校の全児童世帯へ配布し、子どもと、その親に向けての啓発を目的にしています。
実際のワークショップの内容と、そのねらい、フィールドワークで得られた情報に基づいて、子どもたちが考えた地域への提案をご紹介します。
ワークショップStep1(導入)
オリエンテーション『防犯環境設計を知る』
●事前に、環境犯罪学に基づいて、事前に防犯環境設計の視点を与えるための講話を聞く。
《ねらい》
主に、3つの犯罪の構成要素を知り、自分をまもるためには、何が必要かを考える。そして、どうしても危険を避けられないときにどう対処するかを考えるきっかけをつくる。
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ワークショップStep2(点検場所のリストアップ)
危険と思われる場所のピックアップと、地図へのマッピング
●実際に地図上で、自分たちの知っている危険な情報や、地図を見て分かる事柄などをピックアップし、点検箇所を決定。
《ねらい》
商店街という性質上にぎやかな場所は、危険ではないという認識を子どもは持っているようだが、光・目・音・時間というものに注力して点検場所を考えさせる。
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ワークショップStep3(フィールドワーク)
グループごとに分かれ実地検証調査
●自分たちで考えた内容について、検証するために、地域を4班に分かれ、実際に点検する。危険箇所・汚い所、良いと感じるところ、どちらともいえないけれど気になる場所などを、シールで色分けしてマッピングする。
《ねらい》
自分たちで考えていたことと、実際の場所がどうだったのかを比較しながら点検をする。また、それぞれに役割分担をすることで、自分の役目への責任感を持たせる。
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ワークショップStep4(まとめ)
調査結果を踏まえた意見交換・改善策を話し合う
●前回のフィールドワークで調べたことをまとめていく。
《ねらい》
危ないところを避けるというだけではなく、改善していくにはどうすればいいかという、前向きな考え方を持たせる。
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POINT
まちの点検をしたり、防犯マップを作成する際に、気をつけなくてはならないのは、“不審者情報”や“犯罪発生場所情報”などを事前に子ども達に与えないことです。
例えば、「人」に注目して犯罪発生について考えることは、不審者かどうかの判断が非常に主観的なため、特定の人物や集団を不審者扱いしてしまう恐れがあります。不審者を見極めるのは子どもにはとても難しいと思われます。
また、犯罪が発生した場所に関しても、何度も同じところで犯罪が起きるわけではないので、「場所」に執着することで、他の場所で油断をしてしまい、犯罪被害にあう可能性もあります。それから、「場所」の情報をマップに落としこむことで、実際に犯罪被害にあった子どもの心の傷をさらに深くしてしまう可能性も否めません。
子ども達の自主防衛能力を高めるためにも、自分たちで危険を判断できるようなサポートを、大人がしなくてはならないのです。
このプログラムを実施した西部地域の小学校区で子どもたちが出した意見を元にまとめた地域への提案事例です。
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